「愛染さんじゃ、ほぉ・えっ・かぁ〜・ごっ♪ べっぴんさんじゃ、ほぉ・えっ・かぁ〜・ごっ♪ 商売繁盛、ほぉ・えっ・かぁ〜・ごっ♪」と名物の掛け声も湧き上がる。べっぴんさんでなくても愛染娘に選ばれたら云って貰える(笑。 最後の商売繁盛は流石、大阪の祭りか。さほど広くない境内には所狭しと櫓も組まれ、夜も遅くまで「摂州地車囃子(せっしゅうだんじりばやし)かずら」や、フラダンスの演芸大会などで盛り上がる。しかし、今回はオンナとデートに来たわけではない。巡礼に来たのだから祭りはどーでも良い。
まずは本堂でこの時期と正月だけご開帳されている、愛染明王さまとご対面。慌てて出発したので、毎朝読経しているワードで作った佛説明王愛染陀羅尼経を忘れた。仕方ないので代わりに理趣経を読む。既に早い時間から参詣される人も多い。愛染堂の中は上がって座れる場所は無く、立ったままの勤行になる。隅っこに邪魔にならない場所でブツブツ長々と一人読経する。本堂には愛染明王の他に、勝鬘夫人(しょうまんぶにん)、薬師如来、十一面観音、そして歓喜天さまもいらっしゃる。恐らく、十一面観音の手前にあった閉ざされたお厨子の中にいらっしゃるのだろう。お厨子は二つ寄り沿うようにあったので、対いの雙身像かも知れない。勿論、聖天さまのご真言も合わせて唱える。読経中も外ではひっきりなしに、「あーあーマイクのテスト中!」とか、櫓から演歌がガンガン流れ、集中するのに大変な勤行だった。お勤めを果たして、寺務所のお婆ちゃんに取り置きして貰っておいた掛軸をいただく。、愛染十七霊場の掛軸は製作本数自体少なく、大手の巡礼専門店でも扱っていない。愛染霊場が二カ寺あり、巡礼用品店も多い高野山でもなかった。手に入るのは調べた中では、この一番札所とすぐ近くの「仙福 南陽堂」という、表装専門店だけである。電話したときは二本しかなかった。行ったときは予約した一本しか残ってなかったので、取り置きして正解だった。それがここへ真っ先に来なければならない理由だった。高野山に掛軸があれば、ミナミからは高野山へ南海電車でダイレクトに行けるので、その方が効率は良かった。
この愛染堂の裏にある多宝塔では、本日の午後五時から四天王寺の高徳僧侶が大結集して、『夏越(なご)しの祓えの大法要』が執り行われる。「祓え」と云うと、神社っぽいイメージだが、元より明治政府が発令した神仏分離以前は混合法要だったので、四天王寺ほど1300年もの古(いにしえ)の寺や神社では、今でも当たり前のように神主が仏像に手を合わせ、僧侶が神様にお祈りをする。
四天王寺第110世・出口管長猊下による「洒水の儀」には、是非、見学させていただきたいと思ったが、これから高野山へ行って、五時に戻るとなると、「駅から時刻表」で検索したら、遅くとも三時には極楽橋を出なければならない。ってことは、バスの時間を考えると二時半ぐらいまでしか高野山に居られない。今はもう十時半過ぎている。高野山へ着いたら恐らく一時半ぐらい。一時間で二ヶ寺、その間歩き。・・う〜〜ん、かなり厳しい。
『十六番札所:福智院、十七番札所:金剛三昧院』
急ぎ、高野山へ向かう。五時に戻れなければ、しゃーない。そのときはその時じゃ。四天王寺からは難波へ戻らずに、地下鉄で一旦天王寺へ出てからJRに乗り換えて新今宮へ、そこから南海電車へ乗り換える。面倒くさー。しかも、極楽橋まで行く列車はなかなかない。30分ぐらい新今宮駅で次々来る列車をやり過ごす。最も早く高野山まで行ける、特急「こうや」や「りんかん」は一時間に一本もない。あとは準急や快速だ。急行に乗れても一時間40分かかる。極楽橋からケーブルもバスも乗る継ぐから、大阪から高野山は決して近くない。お大師さんは、大阪よりもはるか北にある、京都の東寺からよくも度々歩かれたものだと感心する。
例の如く、高野山をギ〜ギー登り始めると単線になって、途中15分も行き違いの列車を待つため停車する。そこでホームへ降りた。極楽橋までまだ少しある場所でも、空気は美味いし幸い涼しい。これなら歩くのも大層じゃなさそうだ。やっとこさ高野山へ辿り着き、とりあえず往復800円の高い切符を買ってバスに飛び乗る。十六番札所:福智院は、バス停四つ目。女人堂⇒一心口⇒波切不動前⇒高野警察前で降りて徒歩一分。この先の千手院橋で右へ行けば金剛峰寺や得度した常喜院、左へ行けば奥の院だ。十七番札所:金剛三昧院は、千手院橋から五分。警察前から千手院橋までは近いから歩けそうだ。というか、実は西の端の大門から、東の端の奥之院まででも歩けなくはない。愕くほどの距離はないところに、ギッシリと117もの寺が連なっている。
本堂へ着くと、案内して下さった僧侶が灯明と線香を点けていただいた。それでも薄暗いが、午前中の賑やかな愛染堂とは打って変わって寂静の中、心穏やかに理趣経に没頭出来た。読経中、人の気配が無くなっていた筈だったが、終わる頃にはちゃんと僧侶が戻ってきて傍で待っていた。手間をかけたこと御礼を述べて、掛軸を受取り次の金剛三昧院へ向かう。千手院橋をほぼ中心とし、東西に金剛峰寺と奥之院を結ぶメイン通りに出ると、平日でも外人観光客や日本人の参拝者が目立ってきた。笈摺を羽織ったお遍路さんも居る。懐かしい・・。自分も半年前に歩き遍路の終着駅としてここへ訪れたのだ。
さてと、一応高野山での愛染霊場はこれで済んだ。時間も微妙。今から大慌てで帰れば、勝鬘院 愛染堂での大法要に間に合わなくもない。だが、せっかく高野山まで来て「高野の山の岩かげに大師はいまもおわします」べく、奥の院におわす、お大師さまにご挨拶なしでは御仏の弟子としてブッ飛ばされてしまう。
ということで、テクテク奥之院まで歩くことにした。歩き遍路の報告と得度式で過去二回、奥之院は参っているが、二度とも御廟まで約1キロと短い方の「奥之院前」のバス停から歩いたので、今回は長い方(と云っても、約1.9キロ)の一ツ橋の方から歩いた。この一ノ橋から御廟までの表参道は、国の史跡でもある数十万基の墓碑群と老杉の巨木が両脇に延々と立ち並ぶ。四度加行を行なう円通律寺は一ツ橋口からほど近い、熊谷寺を上り詰めた場所なので、恐らく修行中は毎日この参道を歩くのだろう。予行練習に丁度いい。と思いきや、得度式の際にいただいた、「奥之院作法」は持参していない。どこでドナタの真言を唱え、どこで何の経を読むか全く覚えてない。とりあえず、虚空蔵求聞持法をやりながら歩いた。多分、作法とは全然関係ないと思うけど。(笑。
勝手知る御廟前。すれ違う僧侶たちに挨拶しながら、神殿、骨堂、経堂と勤行を進めて行く。地下では大きな五鈷杵の前にひれ伏し、頭をつけお大師さんに現状の感謝と更なる精進を誓う。帰りに納経所隣の大黒堂で三面大黒天さまにも佛説摩訶迦羅大黒天神経を上げ、ご真言を唱える。お遍路さんもポツリポツリと歩いている。団体遍路の案内人が、御廟を前に「ここからは観光ではありません、お大師さまがいらっしゃる場所です。皆さん聞いてますかぁ?」と大声で沢山のお年寄りをまとめている。そもそも、団体といえどお遍路は観光じゃないでしょ?ここまで観光だったんかい?(怒
〜編集後記〜
読んでいてお分かりの通り結局、大法要には間に合わなかった。
一ツ橋口のバス停まで戻ると既に五時前。いっそ、宝物館へ行って展覧中の両頭愛染明王図でも見て行こうかと思ったが、バスはこの時間になると大門方面には向かわず間に合いそうに無い。草履で歩き続けて結構足も疲れた。800円の往復バス切符は一日乗り放題にもなっているが、時刻表を良く見ると大門方面へ行くバスはおよそ人がフツーに移動する時間しか走っておらず、全く観光客向けになっていると分かった。時間に余裕を持って歩かれた方が良いと思う。行きも帰りも女人堂で乗り降りして歩けば一番安く上がる。明日はいよいよ、宝山寺。ついに生駒の聖天さまにもお会い出来る!









巡礼の旅、ご苦労さまです。楽しくも感銘しながら読ませていただいています。
お帰りはいつですか?
(いくつもある)その後のご報告もあります。
またご一献させていただきながら、巡礼のお話をお伺いしたいです。
私も以前お伝えした以降、誠天さまご真言千遍を続けています。
法蓮さんのお導きの賜物です。有難うございます。
それではお気をつけて旅を続けてください。
合掌 高橋司
拝復
高橋サマ
いつも有難う御座います。
もう帰ってきてます。ってか、直接メールしろよって感じですが(笑。
是非、また一献膝を交えたいですね!
その後の状況もずっと気がかりになっています。
ご無理なさらぬように。
感謝合掌
法蓮 百拝